環境測定分析におけるコンプライアンスの徹底及び信頼性の確保について
一般社団法人 日本環境測定分析協会では、「環境測定分析業界における企業行動規範」及び「環境測定分析技術者のための倫理規範」を制定し、かねてより、法令の遵守、企業の社会的責任(CSR)、技術者倫理の重要性の周知徹底を図るべく、業界の信頼性向上に努めてきているところです。
さて、先般、当協会の正会員である環境計量証明事業者に対して、発注者の環境省から、別紙の事実概要に基づき、3か月の指名停止措置が諧じられました。
この事態を踏まえて、当事者及び県の計量行政担当部局に対する聞き取りなどを行ってきたところですが、県からは
①測定方法の変更に関し、当事者は担当者間で協議し了解を取り付けていたと主張するものの、文書で確認ができないため、対応策として協議書等を作成し、確認を得ること、
②報告された測定結果については、対象物質に係るピークの検出確認が適切に行われなかったことなどから、計量管理体制と併せて、適正な運用を図ること。
との指導が行われました。
当協会としては、協会正会員がこのような事態に至ったことを憂慮するとともに、環境測定分析に対する信頼性を損ないかねないことであると危惧するところです。このため、正会員各位におかれましては、環境測定分析事業に携わる者として社会的責任を自覚し、以下の点にご留意の上、法令の遵守及び測定分析値に対する信頼性の確保に向けて、さらに一層の取組を推進されるよう、お願い申し上げます。
1.コンプライアンスの徹底について
今回の事案の問題は、発注者との打合せにおいて、測定方法の変更等の内容が文書として作成されていなかったため、後日に確認することができなかったことに起因しているものと考えられます。また、そのような経過を経て、実際の測定法とは異なる方法で計量証明書が発行されたことに関しては、計量管理体制の重要性について改めて再確認する必要があるものと考えます。
このため、仕様書の遵守徹底を図るとともに、発注者側との確認事項や協議結果等については、書面(打合せ記録簿、打合簿等)に記録し、相互に確認されるよう、お願いいたします。また計量法を始め環境関係法令の遵守並びに計量管理体制に万全を尽くされるよう、改めてお願いいたします。
2.測定分析に係る信頼性の確保について
また本事案においては、得られた測定結果自体が問われることとなりました。このことは、測定分析における品質管理が十分に行われなかったこと等に起因するものと考えられます。このため、環境測定分析に携わる者の技術の向上及び品質管理の適切な実施など一層の充実強化に努められるよう、お願いいたします。