極微量物質研究会

PFAS関係情報

 
PFASとはフッ素を含む有機化合物の中のペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称。PFASには炭素鎖の長さが異なる複数の同族体が存在し、その物性は炭素鎖の長さで大きく異なる。
該当する化合物は数千~数万と言われ、代表的な化合物としては炭素鎖数8のPFOS、PFOAや、PFOSの代替品の一つとして用いられている炭素鎖数6のPFHxSが挙げられる。
またこれらの分子内に含まれる炭素鎖が直鎖状及び分岐状の異性体が存在する。

ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) ペルフルオロオクタン酸(PFOA) ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)
ペルフルオロオクタンスルホン酸
(PFOS)
ペルフルオロオクタン酸
(PFOA)
ペルフルオロヘキサンスルホン酸
(PFHxS)

 
現在、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)においては、PFASのうち有害性が指摘されているPFOS、PFOAを規制の対象とされ、近年にはPFHxSが追加された。 条約対象物質については、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減を規定している。
国内では化学物質審査規制法(化審法)に基づき、PFOS、PFOAが第一種特定化学物質に指定され、PFHxSについても今後追加される予定。対象物質については、製造、輸入、使用が原則として禁止されている。

国内外の規制
条約/法律
2009年 ストックホルム条約 (POPs条約) PFOS及びその塩について付属書Bに追加
2010年 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) PFOS及びその塩について第一種特定化学物質に指定
2019年 ストックホルム条約 (POPs条約) PFOA及びその塩について付属書Aに追加
2021年 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) PFOA及びその塩について第一種特定化学物質に指定
2022年 ストックホルム条約 (POPs条約) PFHxS及びその塩について付属書Aに追加
(2024年予定) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) PFHxS及びその塩について第一種特定化学物質に指定

 

PFASの基準及び法令情報

国内の目標値・指針値

1. 水道水
厚生労働省
【水質基準に関する省令の一部改正等について(施行通知)】
<薬生水発0330 第1号 令和2年3月30日付>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000615826.pdf
 
水質基準等の体系の中で水質管理目標設定項目に位置付けられ、暫定目標値が設定された。
PFOSおよびPFOA 0.00005 mg/L以下(合算して評価をする。)
2021年4月よりPFHxSが要検討項目に追加されたが、目標値は未設定である。
 
2. 公共用水域および地下水
環境省
【水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)】
<環水大水発第2005281号 環水大土発第2005282号令和2年5月28日付>
https://www.env.go.jp/content/900515600.pdf
 
人の健康の保護に関するよう監視項目に位置付けられ、公共用水域および地下水の指針値(暫定)が設定された。
PFOSおよびPFOA 0.00005 mg/L以下(PFOSおよびPFOAの合計値とする。)
2021年4月よりPFHxSが要調査項目に追加された。
 
3. 排ガス
PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項 令和4年9月
管理目標参考値 60 ng/m3N
 
4. 廃水
PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項 令和4年9月
管理目標参考値 1.0 μg/L
 
5. 残さ
PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項 令和4年9月
管理目標参考値 5.0 μg/kg
 

国内におけるPFAS分析方法

1. 水道水
厚生労働省医薬・生活衛生局水道課 水質管理目標設定項目の検査方法
(平成15年10月10日付健水発第1010001号)(最終改正令和5年3月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001077038.pdf
 
2. 公共用水域および地下水
環水大水発第2005281号 環水大土発第2005282号 付表1(令和2年5月28日)
https://www.env.go.jp/press/files/jp/114042.pdf
 
3. 排水
工業用水・工場排水中のペルフルオロオクタンスルホン酸及びペルフルオロオクタン酸試験方法
JIS K 0450-70-10 (2011)
「経済産業省産業技術環境局日本工業標準調査会のHPからデータベースJISにアクセス要」
https://www.jisc.go.jp/
 
4. 土壌
土壌中の PFOS、PFOA 及び PFHxS に係る暫定測定方法
環境省
https://www.env.go.jp/water/dojo/pfas.html
 
5. 廃棄物
PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項
環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課 令和4年9月
https://www.env.go.jp/content/000077696.pdf
 
6. 農地土壌
土壌に含まれるPFASの一斉分析暫定マニュアル~土壌採取から測定まで~
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/163753.html
 

PFAS分析法比較

分析方法 JIS K 0450-70-10 ISO 25101 ISO 21675 EPA Method 533 EPA Method 537.1 EPA Method 1633 EPA SW-846
(Method 3512、Method 8327)
発行年 2011 2009 2019 2020 2020 2021 2021
発行元 日本規格協会  ISO ISO USEPA USEPA USEPA USEPA
対象試料 工業用水、工場排水 飲料水、地下水、表層水 飲料水、環境水、排水 飲料水 飲料水 水質(廃水、表層水、地下水)、土壌、底質、組織 表層水、地下水、廃水
対象PFAS数 2
(17)付属書に記載
2 30 25 18 40 24
Perfluoroalkyl carboxylic acids
PFBA (✓)
PFPeA (✓)
PFHxA (✓)
PFHpA (✓)
PFOA
PFNA (✓)
PFDA (✓)
PFUnA (✓)
PFDoA (✓)
PFTrDA (✓)
PFTeDA (✓)
PFHxDA (✓)
PFOcDA (✓)
Perfluoroalkyl sulfonic acids
PFBS (✓)
PFPeS
PFHxS (✓)
PFHpS (✓)
PFOS
PFNS
PFDS (✓)
PFDoS
Fluorotelomer sulfonic acids
4:2FTS
6:2FTS
8:2FTS
Perfluorooctane sulfonamides
PFOSA (✓)
NMeFOSA
NEtFOSA
Perfluorooctane sulfonamidoacetic acids
NMeFOSAA
NEtFOSAA
Perfluorooctane sulfonamide ethanols
NMeFOSE
NEtFOSE
Per- and Polyfluoroether carboxylic acids
HFPO-DA
ADONA
PFMPA
PFMBA
NFDHA
Ether sulfonic acids
9Cl-PF3ONS
11Cl-PF3OUdS
PFEESA
Fluorotelomer carboxylic acids
3:3FTCA
5:3FTCA
7:3FTCA
Fluorotelomer unsaturated carboxylic acids
8:2FTUCA
Polyfluoroalkyl phosphate esters
8:2diPAP

 

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